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中国語の翻訳会社に関するお役立ちコラム

翻訳会社のチェッカーに必要なスキルとは?

翻訳会社には、一番スポットを浴びやすい翻訳者のほか、翻訳会社のブレーンとも言える翻訳コーディネーター、陰の立役者とも言える翻訳チェッカー、営業や経理など、さまざまな業務を担う人材がいることを、ご存知の方も多いのではないでしょうか。今回は、その中でも、翻訳の完成度に貢献度の高い翻訳チェッカーの仕事内容、そして、一人前の翻訳チェッカーになるために必要なスキルなどについてご案内していきます。

翻訳会社のチェッカーの仕事内容とは?

「翻訳会社で働く人」と聞くと、多くの方が、複数の言語を巧みに操る「翻訳者」や、クライアントと翻訳者の橋渡し役かつ翻訳会社のブレーンとも言える「翻訳コーディネーター」などを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。しかし、この両者以外で、翻訳物の完成度に一番大きく貢献しているとも言える存在が、実は、「翻訳チェッカー」なんです。翻訳チェッカーは、翻訳者になるための登竜門と表現されることもありますし、ベテラン翻訳者の転身後の姿とされることもあります。

主に、チェッカーがしているのは、翻訳における「校正」という作業。どんなに経験を積んでいる翻訳者でも、翻訳支援ツールやソフトウェアを活用している翻訳者でも、人間である以上、どうしてもヒューマンエラーが発生してしまいます。中でも一般的なヒューマンエラーとしては、翻訳前のオリジナルの素材が意図していないものを誤って読み取ってしまうことによる誤訳や、単語や文章などをとばして翻訳してしまう訳抜けなどがあげられます。

また、誤字脱字、句読点の使い方などもありがちな修正点となっています。とくに、中国語に関する翻訳案件の場合は、簡体字・繁体字をしっかりと使い分けることができているかなどの点も重要な校正のポイントとなってきます。また、翻訳会社によっては、「チェッカー」という名前がついている職種でも、文字だけではなくレイアウトなどもチェックする「校正」に関連する仕事に加え、内容に矛盾がないかなどまでチェックする「校閲」に関連する仕事が存在することも少なくありません。

話す・書く・伝える、それぞれの語学力の違い

翻訳チェッカーに必要なスキルは、「中国語がわかる」「英語がわかる」などでシンプルにあらわすことのできる語学力だと思ってしまっていませんか?確かに、翻訳会社で多分野で活動するチェッカーに必要なスキルとして、語学力は何よりも大切なものと言えます。

しかし、ただ「話せる」「意思の疎通ができる」程度の語学力や、「問題なく文章が読める」程度の語学力では、翻訳業界においては、即戦力として活躍していくことができません。チェッカーの仕事内容は、「間違いを見つけ正すこと」と「より良い翻訳物を完成させること」をポイントとしています。そのため、チェッカーに求められるのは、「話す」「書く」「伝える」という、コミュニケーションのベースとなる3つが揃ったスキのない語学力となるんです。

例えば、翻訳された文章のチェック時に、細かいニュアンスの違いに気がついたとします。しかし、いくらネイティブに匹敵する程度の高い語学力を持っていたとしても、感じた違和感を的を得た表現で翻訳者に説明し、根本的な問題を理解してもらうための「伝える」語学力がなくては、チェッカーとしての責務を果たすことができません。

また、「読む」「話す」ための語学力があったとしても、的確で読みやすい文章を「書く」語学力があるとは限りません。そのため、自分では気がつかないながらも、翻訳者への修正指示が要領を得ないものとなってしまい、きちんと修正が終わるまでに、何度もやり取りが必要になってしまうといったような効率の悪い働き方をしてしまうことにもつながりかねません。

チェッカーに大切なのは思い込みをなくすこと

しかし、翻訳会社において重要な仕事を担う翻訳チェッカーに必要なスキルは、高い語学力だけではありません。翻訳の間違いを検出したり、問題のある箇所を指摘したりと、欠点がない翻訳物の完成を目指すという役割があるチェッカーの仕事は、語学力やコミュニケーション能力のほかにも、判断力・集中力・表現力などが必要なスキルとしてあげられます。

例えば、翻訳チェック時には、一度すべての思い込みを捨てるように心がけ、少しでも引っ掛かりを感じる箇所は、曖昧な点が解消されるまで徹底的に調べることも大切です。なんとなくするチェックでは見逃しがちな文法の些細なミスや単語表現のミスなどは、この「思い込みをなくす」というチェッカーの基本を意識するだけで、気がつける確率がぐっとアップします。

また、チェッカーも人間である以上、どうしても、100パーセント完璧に仕事をこなすということが難しいことでもあります。だからこそ知っておきたいのは、脳のしくみを理解し、仕事に役立てること。客観的に物事を見極めるということが仕事において欠かせないチェッカーは、仕事上、それぞれのチェック工程における精度の高さを意識するクリエイティブなワークスタイルを構築することも大切になります。

例えば、コーポレートマガジンなどをチェックをする場合。まずは、ざっと原文と翻訳文の文章の内容を確認する。そして、原文と翻訳文のグラフや数値が入っている部分を確認する。最後に、クライアントから提供されている用語集のものと翻訳文に使われている用語に相違がないかと確認するなど、できるだけ脳が錯覚を起こしにくい状態で仕事をすすめることを工夫するだけでも、チェッカーとして精度の高い仕事を実現することができるようになります。

自然な翻訳文を可能にするためには?

中国語の翻訳においては、簡体字と繁体字の違いがとても大きく、些細なミスにより文章全体が不自然なものになってしまうということも少なくありません。より自然な翻訳文を完成させるには、やはりネイティブスピーカーやそれに準する高い語学力を持つチェッカーによる翻訳チェックが欠かせません。しかし、ネイティブスピーカーだからといって、精度の高い翻訳文が書ける、より良い翻訳文への修正が可能ということもありませんので、熟練した能力とゆるぎない語学の知識を持つチェッカーの存在が大切になってくるというわけです。

また、違和感のない自然な流れの翻訳を実現するためには、翻訳元である原文の国や文化への理解度と翻訳先の国や文化への理解度を高めることも重要になります。そして、両者の違いを考慮した上で、マーケティング知識を活用し、翻訳を手掛けることが求められます。とくに、商業的な要素を含むものを翻訳を校正・校閲する際には、クライアントである書き手側の視点に立つのではなく、その翻訳物がターゲットとしている読み手・受け手の感覚を理解しておくことも大切になります。

まとめ

翻訳チェッカーのさまざまな仕事は、翻訳の成果をあげるために意味の大きい仕事です。とくに、翻訳業界はただでさえ国際的な要素が強い業界。チェッカーとしての仕事をなし遂げるためには、語学力に長けていることに加え、それを活用することのできるコミュニケーション能力が備わっていることが、最低限必要なスキルとなります。語学力もコミュニケーション能力もすぐに身につけることはできません。できるだけ多くの経験を通すことで、着実なキャリアアップへとつなげていきましょう。